書籍紹介『トランプ』(文藝春秋) トランプ、ガキ大将、不動産王、タレント、ナルシスト、大統領。彼を知るにはこの記事と本を読めば十分

はじめに

僕が2016年に一番熱狂した政治ニュースはトランプの大統領当選に間違いない。

大統領選の日は確か水曜だったと思うんですが、僕は仕事中にずっと速報値開いてて結果を追ってましたw

職場の先輩たちもみんな気になっていて、僕の画面を覗き込んで速報値を見ては談義してってのを繰り返して、あの日は一日中コードも書かずに、歴史的なモーメントにワクワクをしていました。

仕事しろよってツッコミは、まあ、甘んじて受けます。はい。

アメリカで政治学のドクター取ってる人がFacebook

[speech_bubble type="fb" subtype="R1" icon="default.png" name="PhD"]アメリカ政治の構造上、トランプの勝利は万に一つもありえません。これは候補者が誰とか関係なく、もう予定調和的にシステムが決まっているからです。もし彼が勝ったら○○します。[/speech_bubble]

的なことをシェアしてて、僕も留学中アメリカ政治は勉強してたから、何となく彼が言うのは嘘じゃないんだろうなーと思ってそう信じていました。

2017年1月20日、結局ドナルド・トランプは正式に第45代アメリカの大統領になりました。

肝心の○○します、の部分を覚えてないけど、結局彼はどうしたんだろうなぁ。

まあ、異常なくらいの番狂わせだったんですよ。世界の知識人のほとんどが予測を誤りました。そのくらい格差が広がっている証拠だろうし、ポピュリズムが強くなってきた証拠なんでしょうね。

政治の難しいことはさておき(僕も詳しいことはよくわからないので)、僕はトランプという男にとっても惹かれたわけです。

そしてこの人のことをもっと知りたいと思った時に、ちょうど出たのが文藝春秋さんの『トランプ』って本。

ワシントン・ポストが徹底的な取材をして書いたものを、超優秀な翻訳家が4人くらいでものすごいスピードで翻訳して、ものすごいスピードで出したって本です。

文量的には500ページくらいあるんで結構骨太だったんですが、なかなか楽しんで読めました。

今日はその書籍を紹介すると共に、トランプさんについて、ちょっとお話したいなと思います。

政治的な側面はほとんどなく、トランプってどんな人生送ってたの?をダイジェストで振り返っていきます。

あ、毎度のことながらアフィリエイトとかないのでご安心をw

見出し一覧

まずもって、見出しが面白すぎる。とりあえず羅列してみますね。

序章: 泡沫候補だった

予備選が始まったとき、ギャンブル・サイトでトランプのオッズは150:1で最下位。ポスト紙も泡沫と結論。違うと考えたのは首都から遠く離れた新聞の発行人だった。

第1章: ミリタリー・アカデミーからフォートン・スクールまで

音楽教師を殴り、ナイフを持ち歩いた問題児は、父親に寄って軍隊式学校に転入させられる。規律を学び、スポーツで花開いたトランプは、名門ウォートンに進学する。

第2章: 人種差別事件で訴追される

トランプ親子の経営するアパート群にはある秘密があった。黒人と白人が入居するアパートを、入り口の段階で「符丁」で分けていたのだ。それは市当局の知るところに。

第3章: 「死刑執行人」と呼ばれた弁護士を雇う

トランプは人種差別訴訟の弁護を、かつて政府内で赤狩りを指導していたロイ・コーンに依頼。すぐに彼らは、一億ドルの賠償を求めて政府を反訴するという奇策に出る。

第4章: マンハッタンを手中に収める

父親の軛を逃れ、自分の足で立つためにもマンハッタンへの進出は是が非でも果たさねばならない。破産寸前のニューヨーク市を空いてにマフィアも利用し取引をまとめる。

疲れて来たので、あとはタイトルだけw

第5章: メディアはこう使え!

第6章: カジノ帝国を築く

第7章: 幹部の死

第8章: 離婚と「秘密保持契約」

第9章: アメフトリーグを潰す

第10章: 破産の危機に瀕する

第11章: 「お前はクビだ」

第12章: トランプ・ブランドで反撃に出る

第13章: 世界が「トランプ」を求めた

第14章: プロレスのリングにさえ立った

第15章: ヒラリー・クリントンとの蜜月

第16章: 本当に「大富豪」なのか?

第17章: こうして旋風は吹いた

終章: 異端児の党大会

正直途中(7-10章あたりかな)の不動産の話は長ったらしく、同じことの繰り返しだったので退屈しました。

トランプは幼少時代からとってもガキ大将だった

ドナルドは学校でそうだったように、家でも規則に反発し、父親に歯向かった。しかしそんな息子に対して、フレッドはいつも「お前はキングだ」、「何でも一番になれ」と励ました。

こんな風に父親から育てられたトランプはもうまさにやりたい放題のガキ大将。体格も大きくスポーツも得意だった彼が、そのポジションを得るのはいともたやすいと思う。

その後、独立心と野心の表れであるナイフを持ち歩いていることが父親にばれて、規律の相当厳しい全寮制のミリタリーアカデミーに転入します。

日本で言うところの防衛大附属みたいなもんですね。

「ドナルドは自信満々だったが、口調はかなり穏やかで、この学校の日々は、何かどでかいものに取りかかるまでの暇つぶしだと考えているようだった」

とクラスメートが語っているように、その時から並外れた風格を漂わせていたのが伺えます。

そして彼はアイビーリーグ(アメリカの超名門校群)の一つであるペンシルバニア大学のウォートン・スクールに進学します。

マンハッタンの不動産王であるゼッケンドルフよりもビッグになってもっと成功すると周りに豪語。もう俺、俺、俺。って感じのやつ。

周りにいたら絶対仲良くしたくないタイプの人種。どうせ無理だろ、とか思う一方で何となく期待しちゃうオーラを放つそんなやつ。

このときにはもうすでにプレイボーイで、女優でモデルの学生とデートをしたりしてたんだそうな。

「トランプはワインレッドの三つ揃いを着て、ワインレッドのブーツを履いて、ワインレッドの高級セダンを運転していたわ。どこもかもワインレッド一色。楽しいデートだったわ」

僕もワインレッドは大好きな色ですが、これはもう想像しただけで吹きますw

アメリカだから成せる技なのか、トランプだから成せる技なのか。

トランプの不動産ビジネスのやり方は徹底的に戦うこと

トランプはもうありえないほどの、ナルシストです。

自分大好き。自分が一番。自分が良ければいい。

自分の職業について、彼はぶっきらぼうにこう述べている。「俺はドナルド・トランプをやっている」

最初は父親がやっていたアパートの不動産ビジネスを手伝っていたものの、それではもっとビッグな男になれないことに気づいた彼は、マンハッタンのど真ん中にビルを持ちたいと思うようになります。

もう思い立ったら、絶対に何が何でも達成するのがドナルド・トランプ

政界ともつながりを積極的に作りに行きながら、悪名高いロイ・コーンというこれまた貪欲な弁護士と運命の出会いを果たします。

トランプは何と言っても訴訟が大好き。自分に不利益を与える相手がいれば、もう容赦なく裁判に持っていきます。そうして敵を作りまくるので、訴訟もされまくる。

その数なんと今までに3500を越えるというw

365日毎日だとしても10年くらいかかるっていうから、これは驚き。もう、普通じゃない。

そのくらいトランプの負けず嫌いと、ライバルへの徹底攻撃と、利害関係者からの憎まれ具合はすごい。

そして結局マンハッタンのど真ん中にトランプタワーという超豪華な自分の名前の入った超高層ビルを持つようになります。

これ建てちゃいますからね。自分好きすぎて!どんだけナルシストだよって!

アトランティックシティにも、カジノ作っちゃいます。赤字垂れ流しで閉鎖したけど。ここにもトランプの文字。

他にもトランプ・シャトル(飛行機)やトランプ・アイス(ただの水)とかもうなんでもトランプ!

Trumpの文字を見かけたら条件反射的に喜ぶのがドナルド・トランプです。

彼の趣味は彼について書いてある雑誌や記事を集めることですから。

トランプはエンターテインメントの領域でタレントになる

トランプがマンハッタンのイケイケ不動産ボーイから、全米に知られるようになった一番のきっかけは何と言っても

でしょう。

Apprentice: 見習い

トランプがプロデュースも手掛けたアメリカの超人気番組で、もうトランプと言ったらこれでしょっていうほどにApprenticeでトランプの成功者としてのイメージは強くなっていきました。

番組内容としては、トランプのような億万長者になりたい若者が16人ほどトランプの元に集められ(それもものすごい数の倍率を乗り越えて)、様々に出される課題をこなしながら不適格なものから脱落していき、最終的に1人を選んで採用するというもの。

採用っていうとご褒美がしょぼすぎるように聞こえますが、その時に実際に謳われていたのはトランプの持つ子会社のどっかの社長のポスト。

ハーバードのMBA出身、ど田舎の農家、ギラギラした野心家、そんな人たちがね

「こんにちは、はじめまして」

からいきなりチームを組まされ、競わされ、評価され、脱落し絶望し、生き残って歓喜するのは面白いわけですよ。

そして脱落者にはトランプがその場でアドリブで思いついたとされる

You're fired

って名言でクビにされるw

そもそも採用されるための選考みたいな感じなのに、クビって言われるこの感じ。

これがApprenticeとドナルドの必殺技となって、視聴者はテレビの前で今か今かとこのセリフを待っていたそうです。

The Apprenticeに加えて彼が本物のエンターテイナーだと確信させたのが、プロレス

WWE(プロレス団体)の会長と億万長者対決と題して、二人の自慢の髪を賭けて戦うというもの。

僕は最初プロレスの話が出てきたときは、彼がプロレスラーにでもなったのかと思いましたw

まあ身長も190とかあって、体格もいいので全然なれそうではありますが、そうではなくてお互いにプロレスラーを指名して、代理で戦って、負けたほうが髪の毛を全剃りするっていうw

彼は自分の選手が負けそうになると、リング外にいたWWEの会長にタックル、そして馬乗りに殴ります。

そして満足げな顔でガッツポーズ。

その瞬間観客はありえないほどに湧くんです。

ああ、この人は本当のエンターテイナーだな、と思いました。

トランプの一番の才能は民の言葉で語り民の心を掴むこと

彼が大統領になれたのには、マクロ、ミクロ、政治、経済、いろんな要因があるのでこれだ、と言う風にはできません。

しかしドナルド・トランプというキャラクターを考えた時に一番大きかっただろうな、と思うのは彼の人心掌握力。

いやまあアメリカの大統領選はそれがないと勝てないんでしょうけど、彼はとにかく民の心を揺さぶるのがうまい。

彼は少数のエリートのための言葉を語るのではなく、普段の生活に鬱憤が溜まって、決して満足していない民たちの代弁者になった。

本人が実現不可能だと思っている施策も、民たちが実現を願っていればそれを代言する。難しい言葉は使わず、民が共感できる言葉に変えて喋った。

それは、そこに集まった人たちが悲観的だからでも、皮肉屋だからでもない。自分たちが傷ついていることや裏切られたことを理解してくれる人が、ようやく現れたからだ。

マイケル・ムーアが大統領選の前に書いた記事が非常にわかりやすいので読んでみて下さい。

ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう

そして彼の主張は誰にでもわかりやすく、シンプル。

そうやって勝ってきたんです。

この人は言葉の力を持っている人ですね。いかにもアメリカって感じ。

He is the American Dream.

ですよ。

まとめ

結局僕はこの本を読んでも、やつが善人なのか、悪人なのかさえもわかりませんでしたw

ただ、たしかにわかったこともいくつかあります。

ものすごいナルシスト

もう圧倒的なまでにナルシストです。自分大好き。それだけで大統領になったんじゃないかっていうくらいに僕は思います。

ものすごいクレバー

頭がいいので、みんなが思っているような変なことはしないと思います。核ミサイルぶっ放すとか。

彼は自分の名がどう後世に残るのかとかとっても気にする人ですから、悪名高い大統領にはなりたくないんじゃないのかなと。

ただ、アメリカ第一主義は必ず貫いて来るし、しかもそれをしたたかに実行してくるでしょう。

この辺は政治素人だからと言って侮れないばかりか、だてに不動産王としてマンハッタンのど真ん中にあれだけの高層ビルを立てる男ではないということです。

正直2017年からの世界政治がどうなるのか、僕にはまったく予想もできませんが、何となく変化にワクワクしているのは僕だけではないはず。

まあ大統領としての手腕はこれからなので、これからも動向を追っていこうと思います。

『トランプ』| Amazon.co.jp

もし彼のことをもっと知りたいと思ったら買ってみたらいかがでしょう。